1972年に誕生した35mmレンジファインダーカメラ「ミノルタ ハイマチックF」は、その卓越したコンパクトさと革新的な自動化機能で、当時の市場において際立った存在でした。優れたロッコール38mm F2.7レンズを搭載し、卓越した画質と精緻な描写を実現しました。ハイマチックFの画期的な点は、電子制御露出システム「エレクトロ・コントロール」の導入にあります。このシステムにより、露出の完全自動化が実現し、撮影プロセスが大幅に簡素化されました。これにより、写真家は構図や瞬間の捉え方に集中できるようになりました。これは当時としては極めて先進的な技術でした。

軽量ボディ、信頼性の高い性能、そして自動撮影の発展への貢献により、このカメラは瞬く間にプロの写真家から愛好家まで、幅広い層に愛用されるようになりました。ミノルタハイマチックFは、単なる高性能レンジファインダーカメラではありません。写真技術の普及に貢献したこのカメラは、ミノルタのカメラ設計と技術革新における先見性を示す、写真史における重要なマイルストーンと言えるでしょう。